【コラム】管理しない道を作る|はじめての組織図

「どうすれば管理職になれるか?」に真剣に取り組んでも出来ない人がいます。

本人の適正と本人の志向です。

専門職としての道を歩ませた事例を紹介します。

創業10年、企業規模30名のサービス業です。その新任課長はいつも忙しそうでした。手帳に付せんを貼り、ノートパソコンを持ち歩き、携帯で電話しています。テキパキと自分の事をこなしています。専門職としては出来る人でした。

管理職になったので「自分で仕事を抱えこまない事」を目標に掲げました。全て部下に振り管理職となるつもりでした。しかし、一向に手を離さずに抱えたままでした。彼の理想の上司像は元の上司でした。その元上司は切れ味鋭いスペシャリストでした。

一方で社内では、「人に振りすぎ」「自己中」との評価もありました。しかし、仕事内容は完璧で同業他社からも一目置かれる存在でした。また、創業時からの役員だったのでお咎めなしの状態でした。新人の管理職は元の上司の真似をしたくても、部下に仕事を振れず抱え込むようになりました。

週間予定を立てさせ結果を記入させました。週次の個別面談で予定した仕事が出来ずに結果が合致しないのかを検証しました。仕事を部下に強制的に降ってもまた自分で仕事を見つけて取り組んでしまいます。

そこで、本人に迫りました。

「専門職として仕事に向かうのが良いのか?管理職として事業所の管理をするのが良いのか?」

しばらく考えた末に「専門職の道を歩みたい。」となりました。

彼の元上司と共に業界団体での発表や外部講師を務めるようになりました。彼にとっての自分ごとは仕事でした。その会社内に不満はありませんでした。部下を持たない専門職としての道を歩んでもらう事になりました。

向き、不向きはあります。課題に直面させて事実として「向いていない」事を本人に自覚させました。そのうえで本人の意向を聞きました。管理職失格ではなく専門職合格への道筋を歩ませる事で本人が納得しました。

「自分はできない」事を本人にさせ続ける事は酷であると同時に会社としての損失です。