はじめての組織図   【事例12】

当ブログは社員数30人から社員数100人程度の中規模、中企業を対象としています。人と組織の潜在力を顕在化する組織作りのプロである内海透が執筆しています。組織作り、組織再構築のコツを記しています。1~3分程度でサクッと読める内容です。

【ケーススタディ12】定着しない今どき社員
当社のお客様は3K職場が非常に多いのが特徴です。当社がこれまで関わった業種の中で牧場、畜産加工業、製造業、金属加工業、建設業、建設機材リース業、家事代行業、ハウスクリーニング業、福祉業などは3K職場と言われています。現場で働く人の定着率を高めたいのはどの企業も同じです。

今回は私が見ていて最も過酷だと思われる牧場の定着率向上の事例について紹介します。

皆さんのご想像通り「相手が生き物」です。生き物は休みません。しかも牛が成長するまでには3年ほどかかります。日本の畜産業のほとんどが家族経営です。子牛を買ってきて育てて出荷する形式が一般的です。種付け、出産、哺乳などは24時間体制ですので家族経営の牧場は敬遠します。
一貫生産の牧場では全ての業務を分担して行います。
種付け(人工授精)や出産対応の部署、生後間もない赤ちゃん牛への哺乳部門。子牛から成牛にするための育成部門、より大きく育てる肥育部門に分かれます。牧場長は病気の牛がいないか目を光らせます。牧場の仕事に憧れて就職希望する人は一定数います。が、なかなか定着しません。経験が無い人が出来る仕事は肉体労働などに限られるからです。
いざ働いてみると牛との触れ合いなどへの憧れ以前に大きな牛をもっと大きくする重労働と向き合わなくてはいけません。数十キロもある藁を集めて牛に食べさせることが仕事です。軽トラックの荷台に餌を積んでは降ろす事を1日に何度も繰り返す単純作業です。新人が来ては数か月で辞めていく。早い人では3日と持たないのも無理からぬことです。
私が同行調査した日は7月にしては涼しい1日でした。しかし、作業服を着て半日一緒に歩いただけで汗まみれで着替えが必要なほどでした。(全く肉体労働せずに同行するだけでです。)担当者は黙々と段取り良く仕事を進めます。「一人前になるのにどれくらいかかるか?」と聞いたところ「3年くらいかかりますよ。餌を食べさせるだけではなく牛の様子を見ながら異変に気が付かないとダメですからね。」との事でした。「マニュアルはあるのか?」と尋ねたところ「ありませんよ。見て覚えるしかないです。」との答えでした。
同行調査の結果を経営陣に報告し牧場の仕事のマニュアルと教育プログラムを作成する事となりました。
短期間で辞めてしまう人は誰に相談したら良いかも分からないまま辞めてしまっているのではないか?との仮説を立てました。最初の1週間は牧場全体の仕事の流れや牛が産まれてから市場へ行くまでの流れを概観させるようにしました。次の1週間からはそれぞれの部署で先輩と一緒に働くようにして1か月間で全部署を経験出来るようにしました。
2か月目からようやく肥育部門で先輩について牛に餌を食べさせる仕事をさせるようにしました。肥育部門の仕事は変わらず肉体労働ですが牧場全体の仕事を知り自分の役割を理解し自分の将来像が見えてきたことが離職率低減の大きな理由でしょう。

 

【自分ごと組織づくりのポイント】
学習ステップを踏まえた教育プログラムを作成する事がポイントです。物事を全く知らない段階から出来るようになるには学習ステップと呼ばれる段階を昇ります。人材育成の際にこのステップを知らないと「何で出来ないんだ!」と怒鳴り散らす事になります。

 

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※読者の皆様から多くのご感想を頂いています。
(一部抜粋してご紹介いたします。)
・会社を息子に引き継がせようと思っています。
そのための参考にしたいと思います。
・組織内の課題抽出、解決法を学ぶ上でそもそも
組織の在り方自体の参考にさせて頂こうと考えております。
・大変わかりやすいものでした。
10年目の今だからもう1度必要と感じています。
・「はじめての組織図の作り方」の記事を拝見し、
自社(30人規模)の実情と照らし合わせ興味を持ちました。
組織図の作り方、参考にさせていただきます。