はじめての組織図   【事例11】古参社員撃退

当ブログは社員数30人から社員数100人程度の中規模、中企業を対象としています。人と組織の潜在力を顕在化する組織作りのプロである内海透が執筆しています。組織作り、組織再構築のコツを記しています。1~3分程度でサクッと読める内容です。

【ケーススタディ11】古参社員撃退
後継社長が悩み苦しむ課題の一つに言う事を聞かない年上の部下の対処があります。特に前社長から可愛がられていた事を自負し後継社長に対して「面従腹背」の態度で接するので手を焼きます。(正直辞めさせたいと思いつつも力で辞めさせると社内に悪影響を及ぼすので手をこまねいているという相談は良く受けます。)このような古参社員に対しては「事実」で対処するしかありません。以下では創業70年3代目の製造業の事例を紹介します。

その会社では前社長が亡くなり後継社長が40代で事業を引き継ぎました。後継社長の悩みは言う事を聞かない営業所長の対処法でした。この会社では営業マンは実績を上げると営業車(自家用車)を会社が支給しその他諸々の手当をつけて優遇していました。病院や接骨院業界のルートセールスが中心ですので営業は関係性重視の仕事です。会社員としての営業というより個人の営業代理店のような性格を帯びています。業界は小規模の個人事業者が中心で担当地域内での競合が激しい状況でした。待遇が悪いと競合他社へ転職したり独立する業界です。前社長も営業所長の引き留めに苦労した結果、特別扱いとなっていました。60歳代後半の営業所長は自分の営業所を私物化していました。朝はお客様先への直行、夕方は直帰で会社の経費で毎日のようにお客様と飲み歩いていました。日中どのような仕事をしていたかは誰も把握できていませんでした。
前社長同様後継社長も営業所長の対応には困っていました。私が後継社長と知り合ったのは彼らが組織再構築を図っている時でした。

当時は、毎月1回の営業会議にすら理由をつけて参加していない状況でした。
そこで、営業部長から文書(メール)で連絡しました。

(その後に記録として残すためです。)

全く参加しませんでした。

そこで、営業部長と私とで営業所を訪問する事にしました。これまでは、営業部長を飛び越えて社長が直接営業所長と話していたので営業部長にとっても営業所長にとってもはじめての経験でした。営業部長には年上の部下でどう対処して良いか分からず後継社長任せでした。「あなたにとって年上でも部下には違いないので毅然とした態度で臨んでください。それに、外部の人間が同席していると営業所長は絶対に穏やかな態度で接してきますよ。」と落ち着かせながら営業所へ向かいました。

(営業部長も40代で後継社長と同年代です。)

営業所長は後継社長ではなく営業部長が来ているのをいぶかしがりながらも穏やかに出迎えてくれました。世間話や前社長の話などの話の端々に後継社長が来るべきだと匂わせていました。
「〇〇所長、20年近く営業所の責任を担われて大変ですよね。しかも、息子みたいな営業部長が上司というのはやりにくい事も多いかと思われます。しかし、当社は組織として強くなりたいとの意思を表明しました。だから、営業部長から連絡するという当然の筋道で対応しました。人生の先輩としてご理解頂けますよね。また、今後の事を考えると社長が現場を離れる事の意味もご理解頂けると思います。面白くない事もあるかと思いますがご理解ください。」とあくまでも下手に話を切り出しました。
「当然の事ですよ。私のような老いぼれがいつまでものさばっているのではなく若い子たちに頑張ってもらいたいですからね。」と営業所長が答えました。

(何度もこのような場面に遭遇していますが具体的な話が出るまでは穏やかに進みます。特に営業職の方は対人スキルが高いので感情をあらわにすることはありません。)

そこで、営業部長に具体的な指示を出してもらいます。
「〇〇所長には、3つだけ約束してほしいのです。1つ目は毎月の営業会議に参加して欲しい事です。2つ目は営業所員の日報を取りまとめて私へ報告してほしい事です。3つ目が直行直帰の連絡です。」と営業部長から指示出しをしてもらいます。

(一度に多くの事柄だと進まないので3つ程度を限度とします。3つの場合は簡単な事から難しい事の順番にします。)

〇〇営業所長は「分かりましたよ。営業会議には参加しますよ。部下の日報もまとめて出しますよ。ただ、忙しいので週でまとめても良いですか?直行直帰についても別に問題ないですよ。だけど、毎日だと出来ないのでこれも合わせて週でまとめる形で良いですか?」と返答しました。

(大事な事はこれで終わりにしない事です。復唱して確認します。)

「ご理解ありがとうございます。次回の営業会議は〇月〇日〇時~本社で開催されます。参加されるとの理解で宜しいですね。所員の日報と所長の直行直帰については毎週月曜日の午前中までにとりまとめてメールにて営業部長に送ってください。よろしいですか?」と私が畳みかけます。
「分かりましたよ。その程度の事であれば。」と〇〇営業所長は答えました。
「ありがとうございます。社長への報告もありますので記録として残したいです。私宛に〇〇営業所長からメールで今決定した事を記録として送ってください。」としつこく食い下がります。営業所長にとっては面倒くさいながらも追い返す事が出来るのでその場でメール返信しました。

(画像はサンプルです)

その後、時間が経つにつれ報告書が遅れ、連絡が無くなるようになります。
営業部長は、その後もしつこく営業所長に事実で事実を追求します。年上の部下であってもやっていない事実を突きつけられると抵抗は出来ません。
この後は「辞める」を切り札に出してきましたが、辞めるまでに部下への引継ぎスケジュールを作成させて部下への引継ぎを完了させました。
実況中継のため長くなりました。当事者である自分たちだけで対処するのは難しい事です。私たちは外部の人間ですので嫌われ役になる事は厭いません。

 

【自分ごと組織作りのポイント】
好き嫌いの感情ではなく事実をもとに判断します。出来るか出来ないかについては高等な事(向いていない事)以外は教えれば出来るようになりますが、「やるかやらないか」については事実の記録で追及します。全ての古参社員を撃退するのではなく決めたことをやらない古参社員を撃退するのが目的です。

 

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※読者の皆様から多くのご感想を頂いています。
(一部抜粋してご紹介いたします。)
・会社を息子に引き継がせようと思っています。
そのための参考にしたいと思います。
・組織内の課題抽出、解決法を学ぶ上でそもそも
組織の在り方自体の参考にさせて頂こうと考えております。
・大変わかりやすいものでした。
10年目の今だからもう1度必要と感じています。
・「はじめての組織図の作り方」の記事を拝見し、
自社(30人規模)の実情と照らし合わせ興味を持ちました。
組織図の作り方、参考にさせていただきます。