後継者 二代目 社長

後継社長のための経営力強化法 28.アンゾフのマトリクス

3-4.改善のヒント 1.未完了を完了する

1.問題提起

未完了を完了させている

 

解説

未完了とはあまり聞きなれない言葉でしょう。物事を完了させていない状態を指す言葉です。

良くも悪くも未完了の状態は気持ち悪い状態です。何かをはじめたものの、うまく行き始め、忙しくなってしまい始めたことを完了させられなかったという事はありませんか?

完了させない間に他の事も入り込んでしまいそのうち忘れてしまった事です。
逆に「やろう」と思い準備に着手したが出来ずに放置してしまった事などもあります。
こうした「未完了」を洗い出し完了させることが時間と労力の点から早く成果を出せます。
90日程度で結果を出さなくてはいけない事業再生コンサルティングの現場では、すぐに着手出来る事として「未完了の完了」を最優先で取り組みました。特に即効性のある売上向上の方法です。

 

 

アンゾフのマトリクス 

全ての商売は「誰に」「何を」売っているのか?の組み合わせです。請求書伝票をひっくり返して自社のお客さんは誰か?その客さんに何をどれだけ売っているのか?

上記のマトリクスを参照して分析しましょう。
この分析作業を行うだけでここが弱い。もう少しこの企業を攻略しようといくつかのアイデアが出てきます。

 

0.過去客の掘り起し
アンゾフのマトリクスには出ていませんが、最初にやるべき方法が自社と過去に取引があったお客さんの掘り起しです。以前購入実績があったお客さんに対して電話1本掛けるだけです。
「最近、お見えになられていないようですが、いかがなさいましたか?」とひと声かけるだけですぐに戻って来てくれるお客様もいる一方、引越し、病気などの理由で二度と買いに来れない方もはっきりします。最初の1週間で社員に過去客に電話を掛けるようにさせると、新規開拓をしなくてはいけないと気付かされます。上司が部下に「新規開拓しなさい」と口を酸っぱくして言うよりも、部下に過去客に電話をさせる方が効果的な場合も多くあります。

 

1.既存×既存
既存のお客様に既存商品を更に買ってもらう事です。
売上を上げる方程式は、単価×数量のどちらを上げるかです。
単価は既存のお客様の場合は既に決定している場合が多いため、数量を多く売る事になります。

 

 

近江兄弟社事例
私が近江兄弟社の営業マン時代に既存顧客に対して既存商品を売っていたのかについて紹介します。ドラッグストアなどのチェーン店では、年に数回行われる棚割りで売り場が決定します。
この棚割りの時に参考にされるのは前年度の販売実績(POS実績)です。また、テレビCMの回数などの宣伝広告の施策にも影響されます。メンタームブランドは知名度があるため定番の棚は確保できていました。しかし、既存商品を定番の売り場で売っているだけであれば翌年度以降も定番確保できるかは不確定です。そこで、既存商品をさらに売るために私たちはドラッグストアの店頭を訪問していました。一般的な定番商品の棚以外のレジ前や店頭での陳列は店長の裁量にゆだねられる事が多いため夜討ち朝駆けで店舗を訪問しました。

 

小売店事例
当社のお客様で江東区住吉でフランス料理店を営んでいたランファン(現在は、銀座に移転)では、既存顧客に自店への訪問を促すためにワイン会や店内でのライブを実施しました。店舗ビジネスを行っている方はヘビーユーザーに更に通ってもらうためのイベントが効果的です。

 

2.既存×新規
既存のお客様に新規商品を買ってもらう事です。群馬県の食肉メーカーでは精肉以外の加工品の製造・販売も行っています。しかし、既存のルートを巡回する営業マンは冷蔵車の運転、配送も兼務しているため単価が低く、サイズが小さいトルトカレーやその他の加工品の販売には目が行き届いていませんでした。そこで、営業部の中で商品別販売担当者を選定してカレーを拡販する事としました。一般的な精肉の小売店ではレジ横に空スペースがあるためレトルトカレー数個を並べる事に抵抗あるお客さんはいませんでした。3カ月の拡販プロジェクトの結果、毎月3倍以上の数量を売ることが出来るようになりました

 

3.新規×既存
新規開拓です。新規開拓はさらに詳細なステップを組み立てる事となります。
1. 最初のアクション:当社の存在を相手に知らせる。(準備を含め開始から2週間程度)
2. 相手の反応を得る(送付から2週間程度、開始から1カ月程度)
3. 反応があった相手に試してもらう(訪問、サンプルの送付)(開始から1~2か月)
4. 商談(開始から1~2か月)
5. 受注(開始から1~3カ月)となります。新規開拓である程度の目標件数を達成するのであれば3カ月程度の期間で上記のステップを行いつつ検証を繰り返すことになります。

 

4.新規事業
ユニクロの柳井氏は、「商売は元々うまくいかないものだ。一勝九敗くらいのものだ。」と仰っています。現在、たまたま「食えている」「稼いでいる」状態だとしても未来永劫続く事はありません。他の事業を成功させるとしても初めから「一勝九敗」を前提と考えていると取り組みやすい。私は次の手順を踏まえたうえで新事業を展開するように進めています。まずは、既存事業で安定的に利益を出せるようになること。そのうえで新事業を行う。この順番は何が何でも死守させています。
一方、友人の経営者の中には経営計画の中に「過去三年の新規事業の売上を全体の売上の2割程度に伸ばす」事を明記している人もいます。彼によると、「既存事業で売上を伸ばす事は簡単で安直な道だ。新規事業は大変な道だ。大変な事を敢えてやる環境に自分たちを追い込むために新規事業のシェアを掲げている。」との事でした。当社の事業再生コンサルティングでは新規事業はご法度としていますが、本来の経営のあるべき姿として常に新規事業や新商品開発を行うのは大切にしたい事です。

 

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後継社長のための経営力強化法 27.改善策を5w2hで明確化する

3-3.改善策を5W2Hで具体化する

1.問題提起

改善策を5W2Hで具体化している

解説

成行予測値を悲観的冷徹に予測すると、改善しなければいけない改善目標の数値が明らかになります。この改善目標の数値を達成するための対策を具体化することが真の計画策定です。数値に基づいた具体的な計画立案の方法について解説します。

 

2.解決策提示

改善目標を具体的な行動計画へ落とし込むための打ち手を5W2Hで明確にする。

 

手順・

1.金額、担当者、具体的な方法、期限、実行量を明確にする。

2.改善目標を充足させるだけの打ち手を考案する。

3.それぞれの打ち手ごとに実行計画に落とし込む。

 

コツ

全く新しい事を実施するのであれば数値化が難しい。最初は粗い数字で仮説を組み立てます。週次の進捗確認の時点で数値に修正を加え追加対策が必要な場合はすぐに追加対策を加えます。

「走りながら考える!」

 

○事例:セミナー受講者への質問。

成行予測は、おおむね目標に対して80~90%の位置に線を引く人が多い。また、改善目標もヒントを上げると2、3個は出てきます。しかし、最後の最後まで詰め切らなくては意味がありません。改善目標を達成するための具体的な打ち手で金額を徹底的に詰め切ります。最期に出てくるアイデアは「新規開拓関連」になります。「新規開拓を○件実施することで○円になる。」となります。しかし、新規開拓は実現可能性は高いとは言えません。今までのやり方を自分たちで変えているとの視点で見ると悪くはありません。どのようなアイデアであっても、自分たちで考え出したアイデアです。上司は必ず実行させてください。

 

4.得られる成果(評価基準)

出来ない言い訳で数字を積み上げられない状況が、どうすれば出来るか?へと転換できる。社員が自ら考え行動する孝動へと変化する。

 

5.実践への最初の一歩行動

対策が具体的であれば、即行動出来る。行動出来ない対策であればもう一度具体化させる。

 

参考:行動量を指標化する

KPI(Key Performance Indicators)

行動量を数値化した指標です。

一昔前は「営業=根性」の精神論で良かった。今どき根性だけを掲げてもうまくいくはずがありません。営業活動を科学的に捉えるには行動量を数値化して対比する事が効果的です。新規開拓における成約率は初回訪問時○%、リピート訪問を繰り返すことで△%と計測可能となります。逆算する事で△%で毎月○件の成約を得るためには◇件の訪問が必要と定量的な数値化された行動目標が設定できるようになります。毎月のリピート訪問◇件が行動量の指標です。「頑張りますは、何をどれだけ頑張るのか」が誰にもわかりません。

頑張りである行動量を数値化することで行動を評価できるようになります。

 
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後継社長のための経営力強化法  26.悲観的・冷徹に成行値を予測する

 

3-2.悲観的・冷徹に成行値を予測する

1.問題提起

悲観的・冷徹に成行値を予測する

解説

悲観的=悲劇的ではありません。楽観ではなく現実を厳しく捉える事です。事実は事実ですが捉え方は悲観も楽観もあります。事実を事実のまま受け止められれば良いのですが、なかなか出来ないので悲観的に捉える事が大切です。

 

2.解決策提示

1.過去数年間の傾向より算出する

過去3年間の業界、自社の傾向を対比します。出来ればZチャートを作成して過去3年間程度の推移を対比出来ると良いでしょう。データ作成に時間を費やすことはムダなのですぐに集められる業界情報や自社の過去データで傾向値をつかめれば十分です。

Zチャートとは、毎月の業績の推移、最初の月を起点とした月ごとの累計、各月から過去1年間の合計(年計)をあらわし、この3本の線は必ず2点でつながり、「Z」の形になるグラフです。

2.予測できる外部環境の変化から推測する

第二章で分析した外部環境分析で自社を取り巻く外部環境を明らかにすることで、定量化=数値化して推測する事が可能となります。今後の顧客企業の減少数や地域人口の予測などは明確でしょう。技術革新や社会環境の変化も定量化して取り入れたいものです。少子高齢化の中では出生数が増える事はありません。ベビー、子供用品の市場は拡大する事は無いと考える事が妥当でしょう。活字離れの環境下に置かれている出版業界で今まで同様~ オンデマンド印刷。電子書籍への対応。企業のマーケティング支援などに取り組む出版社が増えています。嵐が通り過ぎるのを待つだけの対応では乗り切れません。ただ手をこまねいて座して死を待つのはやめたいものです。とは言え、自社だけは何とかなると達観している中小企業が多すぎですが。 

3.経営者の経験値

数十年経営してきた経営者であれば肌感覚である程度信頼出来る数値を算出します。下記の図は当社がセミナーに登壇した際受講者に実習してもらうシートです。何のデータも無くその場で記入するのですが、その後会社に戻って詳細なデータを確認すると経営者の経験値は概ね外していないようです。成行予測の算出の際にどれだけ「冷徹」「悲観的」に数字と向き合えるかがコツとなります。
上記の実習を行った経営者から
「今まで目を背けていた現実に直面させられた」
「厳しい現状に対して覚悟を迫られた」との感想を頂きます。
何となく、ぼんやりと「目標達成」の掛け声をかけるのではなく、定量化した現実を直視するためにもまた、「まさか」の事態に備えるためにも、「悲観的・冷徹」に成行予測値を算出して欲しいものです。

 

手順・

1.上記解説を参考にして成行値を算出する

 

道具・

上記成行値算出シート

 

コツ

もし、売上が半分になったら...を想定しながら算出する。

 

3.事例紹介

・成行値算出例
前年度売上    292百万円
今年度売上目標  300百万円
の場合、
変化が見込まれる要因を算出すると
▲20百万円
成行予測値は272百万円となります。
改善しなくてはいけない金額は29百万円と算出できます。
前年比103%の目標ではなく、前年比110%の売上向上が必要となります。
甘い期待ではなく、厳しい現実を直視しなくてはいけません。

 

4.得られる成果(評価基準)

改善の打ち手が増える。期待・楽観の経営ではなく現実を見据えた経営が出来るようになる。

 

5.実践への最初の一歩行動

まずは、予測する

 
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後継社長のための経営力強化法 25.計画は2つに分けて考える

 

3-1.計画は2つに分けて考える

 

1.問題提起

目標達成のための実行計画がある

 

解説

目標は立てても達成できない組織は、目標未達成の不等式に陥っています。

目標>計画>実行>結果の不等式です。

 

 

そうした会社の営業会議に参加すると、営業の全社員の今月の見込み(予測、着地)を発表させています。そして、足りない部分については「よし、あとこれだけみんなで頑張って達成させよう。」で終了しています。目標を達成できない計画では計画を作る意味がありません。未達部分について具体策が無ければ達成しようがありません。

 

 

2.解決策提示

当社が提唱するGAPマネジメントの計画を下記で解説する。

 

 

○解決策(計画策定の具体的手順)

・手順

1.目標に対する成り行き予測値を算出する

2.目標から成り行き予測値を差し引いた改善余地を算出する

3.改善余地=改善目標と設定

4.改善目標を達成するための打ち手を算出する

5.打ち手を5W2Hが明確な具体的実行計画に落とし込む。

・道具:

後掲の改善余地算出シートを使用する。

・コツ:
成行予測値は悲観的・冷徹に算出する。「まさか」の事態を想定した数値です

。改善目標のそれぞれの打ち手については、最初の段階では粗い数字で算出します。具体化させる過程で細かく算出していきます。

 

 

4.得られる成果(評価基準)

2つに分けて考える事で得られる成果は成行値を厳密に算出する事で「おぼろげな危機感を定量化された目に見える危機」と実感させる事です。改善目標が数値化されることで、打ち手を具体的な金額で算出するようになります。精神論ではなく、社内に行動変化を引き起こせるようになります。

 

5.実践への最初の一歩行動

まずは、成行値を予測する。

 
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後継社長のための経営力強化法 24.見える化分析

2-11.見える化分析

 

1.問題提起

問題を客観化し見える化する

解説

上司と部下が正対してしまうと、部下は無意識のうちに防御心理を引き起こします。正対するコミュニケーションではなく問題を客観化し部下と共に解決策を考える見える化について解説します。

セミナーなどで実演するのですが、私が上司役をやり受講者に部下役をやってもらいます。最初は対面の場を創ります。
そこで、私が「当社が売上目標達成できないのはなぜだろうか?」と尋ねて受講者に感想を聞くと、「思わず、言い訳を探しそうになります。」「尋問、詰問を受けている感じになる。」との答えを多く受けます
(ちょっと意地悪に部下役の目をまっすぐに見つめるのでなおさらですが。)
本当の上司と部下であればもっと厳しくなるでしょうが。

次に模造紙上の問題点を一緒に解決する視点で問いかけます。すると、「問題を解決しやすくなりました。」との位置に変わります。

前述の模造紙による分析は真ん中に問題を置く。共通の敵である問題を解決するパートナー=無意識の協調の図式に持ち込むための方法です。

 

2.解決策提示

問題を見える化する

手順・

問題を張り出す

ホワイトボードなどに書き出す

道具・

模造紙、ホワイトボード

コツ

問題解決のパートナーとして一緒に知恵を出し合います。
「誰が悪いか?」ではなく、「何が悪いか?」思考へと切り替えましょう。
「どうすれば解決できるか?」を一緒に考えます。
この方法が効果的なのは現場で検証を行う事ですぐに改善できる提案が出やすくなることです。
問題が客観化されることでアイデアを出す現場も経営も最適解を求めるようになります。

良い問題解決の第一歩は良い場を作ることです。

 

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後継社長のための経営力強化法 23.PDCAサイクル分析

2-10.PDCAサイクルを回す

 

1.問題提起

PDCAサイクルを正しく回している

解説
いつも目標達成している会社は目標達成のための仕組みが機能しています。PDCAサイクルが正しく回っています。当たり前のことを当たり前に出来ているのです。
ところで、あなたはPDCAサイクルの正しい姿を習ったことがありますか?セミナー受講者に聴いても何となくPDCAサイクルらしきものをまわしているつもりだという答えた多いです。名刺交換の方法や電話の出方、取次方については教わっても仕組の回し方を教えてもらった事はないようです。以下で正しいPDCAサイクルについてお伝えします。

2.解決策提示
当社では事業再生コンサルタントとして窮境にある企業のPDCAサイクルを回しV字回復を支援してきました。当ブログでは、当社が実際に使用しているPDCAサイクルの分析手法と定着手法をお伝えします。下記手順で実践して欲しい。

・手順:1

.模造紙や大型ホワイトボードなどにP→D→C→Aの項目を記入します。
2.自社で使っている帳票類を項目の下部に張り付けます。
3.その上で足りない部分やダブっている部分にマーカーや付箋で色分けします。
4.足りない部分については必要な帳票を作成、ダブっている部分は統合しモレなく、ダブりないように完成させていきます。
5.下記目標を達成するための方程式と照合し改善策を実施する。

・道具

:模造紙、マーカー、付箋

 

・コツ:

 社員が模造紙を見ながらワイワイガヤガヤと改善策を出しやすくする雰囲気を作れるかがコツ。すぐに出来る事はその場ですぐに実行する。実行した結果小さな成功事例が出来ると部下は自信をつけます。分析中に自分が言ったことが採用された部下は率先して実行するようになります。
指示待ちから自発への転換をうまく引き出して欲しい

3.事例紹介

自社で使っている帳票類を全て洗い出す場合、今年の売上目標、実績、予算実績対比表、商品別売り上げ実績表などはどの会社でも使っています。これらの帳票を模造紙上に張り出して自社に足りないものは何かを社員と共に検証していきます。しかし、小さな会社の場合には、そもそも目標自体を設定していない場合もあります。その場で目標設定しなおしてください。営業活動を一緒に行っている社員がいれば是非一緒に分析してください。 実際、この目標と実績の対比表を作成することにより前年同月対比で140%以上の売上実績を上げる営業マンも現れました。まさに見える化の効用です。

4.得られる成果(評価基準)
いつも目標達成する組織の基盤が形成される。

5.実践への最初の一歩行動
自社のPDCAサイクルを見える化分析する。
足りない部分やダブっている部分を改善する。
すぐに出来る事はすぐに実行する。

 
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後継社長のための経営力強化法 22.学習ステップ

2- 9.学習ステップ

1.問題提起

学習ステップを理解して教育している

 

解説

物事を全く知らない段階から出来るようになるには学習の4ステップと呼ばれる段階を昇ります。

 

1.出来ない事を知らない=無知→2.知る →3.意識して出来る →4.無意識に出来るの4段階です。

これらの各ステップを知ったうえで人材を育成しているでしょうか?

学校を卒業したばかりの新入社員であれば、ほとんどの事が「1」の状態です。中途入社の社員で同業他社などで同様の仕事をしていた場合でも自社については新入社員同様です。上記のステップを踏まえた教育プログラムが必要です。

 

2.解決策提示

上記の4ステップに則った教育を実施する。

・手順

1.知識情報を提供し概要を理解させる

2.知っているが出来ていない事を実感させる

3.出来るまで量稽古を積ませる

4.無意識にできるレベルに体に覚えこませる

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ褒めてやらねば、人は動かじ。」は山本五十六の言葉です。
出来ないから出来るへのステップアップで重要なことは上司の率先垂範と量稽古です。

自動車の運転免許を取得した時のことを思い出してください。初めて教習所に行ったときにどのような気持ちだったでしょうか?「みんな運転しているんだから自分でも運転できるだろう。」と思いつつも不安だった事でしょう。学科で知識や情報を教えられ、横に教官が乗った状態で教習所内のコースを何度も運転しました。知らない=無知の状態から知識を得て安全な場所で何度も運転することでようやく「意識すれば出来る」状態になりました。更に何度も運転することで無意識に運転できるようになりました。無事に免許を取得し、プライベートで運転したり仕事で運転する事を繰り返し無意識で運転できるようになりました。音楽を聴いたり、会話をしたりしながら長距離ドライブにも行けるようになりました。

仕事も同様です。最初はスーツにネクタイ姿もままらなず「おっかなびっくり」で出社した時期があったことでしょう。上司や先輩に教わりながら仕事を覚えていきました。やがて一人で無意識に仕事が出来るようになりました。随分昔の事で忘れた人もいるかもしれませんが。

このように新しい物事を知り出来るようになるためには必ず学習ステップの階段を登ります。上司は部下が今どの段階にいるのかを知ったうえで教育してほしい。

 

4.得られる成果(評価基準)

上司の「普通は出来るだろう!」の叱責(パワハラ発言)がなくなる。

 

5.実践への最初の一歩行動

部下がどの段階なのか把握する

 
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後継社長のための経営力強化法 21.評価基準

2- 8.3点セット(評価基準)

1.問題提起

評価基準がある  

 

解説

職務記述書と評価基準があれば人材採用が「賭け事」でなくなります。募集要項で必要としている職務要件を明確に出来ます。評価基準書の内容を面接時に伝え確認する事で採用時のミスマッチを減らす事が出来ます。採用した人に、「ダメでした」と伝えるのはお互いに辛い事ですので。

現有人材の育成方法が明確になります。基準を明確にしないので部下はいつまで経っても「何が正解か」分からないのです。だから、上司にとっても、いつまで経っても出来ない部下なのです。人事評価は「敷居が高く面倒くさい。」のですが、当社では3段階の基準で始める事を進めています。ある仕事について

「上司と一緒に出来る」「一人で出来る」「指導出来る」

の3段階であれば取り組みやすいでしょう。

上司と一緒に出来るレベルの人材については、マニュアルを活用しなるべく早く一人で出来るレベルへと育てます。上司と同行のOJT教育は定性的な側面ではお勧めしますが費用対効果は良くありません。慢性的な人手不足の業界では、マニュアルを有効活用して一人当たり生産性を高めたいものです。

 

2.解決策提示

仕事の棚卸から作成したマニュアルに基づき基準を設定します。

 

手順・

1.仕事の棚卸からマニュアル化した項目について評価基準を明確にします。

2.出来るの基準については数値や図などで具体化する。

 

道具・

 

コツ

一人でやれるようになってもらいたい仕事を優先的に取り扱う。

「ここまで出来るようになると基準を満たして次のステージに行ける」事を明確化すると目標が明確になりモチベーションを高められます。

 

4.得られる成果(評価基準

規模が大きくなって頭を悩ませる人事評価制度の基盤が構築できる。

 

5.実践への最初の一歩行動

仕事の棚卸

 

参考:基準を超える人材が来る仕組みを作る

部下に惚れられる上司。

人が来たくなる会社を作る。

惚れられる事です。

徳川家康の大将の戒めを紹介します。

 

大将の戒め   徳川 家康

大将というものは 

敬われているようでその実家来に
絶えず落ち度を探られているものだ
恐れられているようで侮られ
親しまれているようで疎んじられ
好かれているようで憎まれているものじゃ

大将というものは 

絶えず勉強せねばならぬし
礼儀もわきまえねばならね
よい家来を持とうと思うなら
わが食を減らしても
家来にひもじい思いをさせてはならぬ
 

自分ひとりでは何も出きぬ
これが三十二年間つくづく
思い知らされた家康が経験ぞ
家来というものは
禄でつないでならず、機嫌をとってはならず、
遠ざけてはならず、近づけてはならず、
怒らせてはならず、油断させてはならぬものだ
 

「ではどうすればよいので」 

家来は惚れさせねばならぬものよ

 

回り道に見えて近道です。

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後継社長のための経営力強化法 20.マニュアル

 

2-7.3点セット(マニュアル)

1.問題提起

マニュアルがある

 

解説

仕事を人に教えるときや標準的な仕事を共有化するためにマニュアルを作成している会社は少なくありません。しかし、マニュアルのレベルがまちまちだったり、ずいぶん前に一度作って更新がされていなかったりと有効活用されていません。せっかくマニュアルを作っても使われないのであれば意味がありません。随時更新して使えるマニュアルとしたい。

あなたの会社では箸の上げ下ろしレベルに分解されたマニュアルを用意し更新しているだろうか?

 

2.解決策提示

箸の上げ下ろしに分解したマニュアルを作成、運用する。本書は後継・二代目社長向けの経営マニュアルとも言えます。マニュアルは、それを理解できれば誰でも同じように再現できる道具です。「〇さんだから出来る」=属人的要素を排し、正しい手順通り行う事で誰もが再現可能となります。

マニュアル作りには欠かせない3つの要素があります。

1.手順、2.道具、3.コツです。
そして水準を明確にする評価基準です。
下記手順に則りマニュアルを作成しましょう。

職務記述書と同様の考え方ですが、全体像→部分へ落とし込む。
ですが、いきなり全体像を描くのは難しいので仕事の棚卸をしたうえでレベルをそろえていきましょう。

 

手順・

1.仕事の棚卸を行う。

2.一つの仕事を箸の上げ下ろしまで分解する

3.手順、道具、コツを網羅する。

4.仕事が完了した基準について具体化する

5.定期的に更新する。

 

道具・

 

コツ

徹底的に分解する。

マニュアルの目的は教育です

最初から全ての仕事を出来る人はいません。何も出来ない所からスタートする事になります。にも関わらず、社員を採用したら最初からすぐに全て出来ることを期待してしまいます。

学校を卒業したばかりの新入社員には名刺交換の仕方や挨拶などの当たり前の事から教えています。そして、営業であれば上司と同行してお客様の所へ訪問しています。一つ一つ出来る事を増やして精度を高めています。それらの出来る事を高い精度で組み合わせていくのが仕事です。名刺交換と挨拶ができるようになれば飛び込み営業は出来る。会社の説明、商品の説明が出来るようになれば一人でお客様を訪問させる事が出来る。出来なかった事を一所懸命練習すれば良い。「やった事の無い事」は出来ないのだから仕方がない。

ただ、出来ると思える事が高い精度で出来ているかこそが問題です。

分解された一つの部分を出来るようになると自信を持って次のステップに進めます。中途半端な水準で次のステップに進んでも、全てが中途半端なままになってしまいます。だから徹底的に分解していくのです。細分化された項目の精度が高まれば結果として全体の精度向上へとつながるからです。

 

 

3.事例紹介

例えば、掃除を例にとり紹介します。
1.の手順で、上から下に掃除をする。天井から床にかけて掃除をする。なぜならゴミは上には上がらず下に溜まるからだ。また、真ん中から四隅に向けて掃除する。ゴミは隅に溜まりやすいからだ。一つ一つの手順が理に適っているため誰が行っても同じように掃除が出来る。コツ(独自の方法)については昔であれば一子相伝的に現場を一緒に経験しないと伝わらない事とされていた。しかし、現在ではこのコツをどのように社内で素早く共有できるかが会社の競争力の源泉となっている。前述の会社では、毎週木曜日の早朝勉強会で気づきを共有しパートさんも月1回の研修会でコツを共有している。

余談だがコツとは骨。

表からは見えない本質的な部分でもっとも大事な事との意味が語源だ。本来は、OJTのように現場を一緒に経験する事が一番望ましいが、事例を通じてコツに触れる事が可能となる。

あなたの会社ではコツをどのように共有出来るだろうか?

 

4.得られる成果(評価基準)

OJT、手待ちが無くなる。一人当たり生産性が向上する。

マニュアル作成で得られる成果は、一般的な仕事は誰でも簡単にさせられるようになることだ。教育の際に出来る事に分解して教育することで教える側の負荷が軽くなる。教わる側も何が出来て何が出来ないかが明確になるため習得が早くなる。

5.実践への最初の一歩行動

仕事の棚卸

 
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後継社長のための経営力強化法 19.職務記述書

2-6.職務記述書

1.問題提起

3点セット(職務記述書)がある

解説

仕事を規定するのに最適なツールが職務記述書です。私は中小企業でしか働いたことがありません。職務記述書は外資系企業では当たり前とされているものですが現物を見た事がありませんでした。長谷川先生に現物を見せてもらいました。見た瞬間に、なぜ、日本の企業では使わないのか不思議になりました。大企業ばかりでなくこれからの中小企業には必須です。その日以降、私は中小企業に職務記述書を広める伝道師となりました。(勝手にですが)

 

2.解決策提示

何をやるのか?

どのようにやるのか?

期待される成果は何か?

を会社と個人で取り決める。

職務記述書は仕事の基本です。

前述の組織設計図と同様の考え方です。仕事の全体像を決める。

部分に落とし込む。しかし、全体像は完成しないと分かりません。

そこで、逆の手順を踏むことになりますが、現状の仕事の棚卸を出発点とします。

 

手順・

  • 仕事の棚卸を実施する(詳細は4章で解説します。)
  • 棚卸で発見された仕事を目的ごとに括りなおします。
  • 目的ごとに括られた仕事を職務記述書としてまとめます。

 

道具・

 

コツ

まずはやってみる。ググって真似する。

 

3.事例紹介

「It’s not my business」

私が以前パートナーとして関わっていた外資系コンサルタントに言われた言葉です。私が自分の仕事で手が足りなくてそのパートナーに手伝って欲しくて声をかけました。彼は財務や計画の担当で営業やマーケティング担当の私とは役割分担をしていました。その彼に「それは私の仕事ではない」と言われたのです。大企業ならいざ知らず吹けば飛ぶような同業仲間ですので手伝ってくれて当然だと思いました。結果的には締め切り間近のため手伝ってくれました。

後日談があります。彼によると、「それは内海さんが引き受けた仕事です。内海さんのやり方があるので途中で誰かの手を借りると全体の責任の所在が曖昧になってしまいます。内海さんの指示のもとであれば出来るのですが、それであるならばフィー(報酬)が発生します。仲間とはいえ曖昧にしては良くないと思ったのであえて言いました。「俺の仕事じゃないよ」と言っては身も蓋もないので英語で言いました。」との事でした。

彼の優しさでした。日本では専門職が育たないのはこうした仕事の引き受け方が問題だと痛感させられました。

誰が責任者なのか?その責任者のもとで何をやるのか?
を明確にするのが職務記述書です。

「みんなで頑張る」のは大事ですが、「何を、どれだけ頑張ってどれだけの成果をだすのか」が規定されないと正当な評価が出来ます。

 

4.得られる成果(評価基準)

一人一人の仕事の責任と成果が明確化される

5.実践への最初の一歩行動

まずは、自分の仕事の棚卸から始める。

 

 
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