後継社長のための経営力強化法 28.アンゾフのマトリクス

3-4.改善のヒント 1.未完了を完了する

1.問題提起

未完了を完了させている

 

解説

未完了とはあまり聞きなれない言葉でしょう。物事を完了させていない状態を指す言葉です。

良くも悪くも未完了の状態は気持ち悪い状態です。何かをはじめたものの、うまく行き始め、忙しくなってしまい始めたことを完了させられなかったという事はありませんか?

完了させない間に他の事も入り込んでしまいそのうち忘れてしまった事です。
逆に「やろう」と思い準備に着手したが出来ずに放置してしまった事などもあります。
こうした「未完了」を洗い出し完了させることが時間と労力の点から早く成果を出せます。
90日程度で結果を出さなくてはいけない事業再生コンサルティングの現場では、すぐに着手出来る事として「未完了の完了」を最優先で取り組みました。特に即効性のある売上向上の方法です。

 

 

アンゾフのマトリクス 

全ての商売は「誰に」「何を」売っているのか?の組み合わせです。請求書伝票をひっくり返して自社のお客さんは誰か?その客さんに何をどれだけ売っているのか?

上記のマトリクスを参照して分析しましょう。
この分析作業を行うだけでここが弱い。もう少しこの企業を攻略しようといくつかのアイデアが出てきます。

 

0.過去客の掘り起し
アンゾフのマトリクスには出ていませんが、最初にやるべき方法が自社と過去に取引があったお客さんの掘り起しです。以前購入実績があったお客さんに対して電話1本掛けるだけです。
「最近、お見えになられていないようですが、いかがなさいましたか?」とひと声かけるだけですぐに戻って来てくれるお客様もいる一方、引越し、病気などの理由で二度と買いに来れない方もはっきりします。最初の1週間で社員に過去客に電話を掛けるようにさせると、新規開拓をしなくてはいけないと気付かされます。上司が部下に「新規開拓しなさい」と口を酸っぱくして言うよりも、部下に過去客に電話をさせる方が効果的な場合も多くあります。

 

1.既存×既存
既存のお客様に既存商品を更に買ってもらう事です。
売上を上げる方程式は、単価×数量のどちらを上げるかです。
単価は既存のお客様の場合は既に決定している場合が多いため、数量を多く売る事になります。

 

 

近江兄弟社事例
私が近江兄弟社の営業マン時代に既存顧客に対して既存商品を売っていたのかについて紹介します。ドラッグストアなどのチェーン店では、年に数回行われる棚割りで売り場が決定します。
この棚割りの時に参考にされるのは前年度の販売実績(POS実績)です。また、テレビCMの回数などの宣伝広告の施策にも影響されます。メンタームブランドは知名度があるため定番の棚は確保できていました。しかし、既存商品を定番の売り場で売っているだけであれば翌年度以降も定番確保できるかは不確定です。そこで、既存商品をさらに売るために私たちはドラッグストアの店頭を訪問していました。一般的な定番商品の棚以外のレジ前や店頭での陳列は店長の裁量にゆだねられる事が多いため夜討ち朝駆けで店舗を訪問しました。

 

小売店事例
当社のお客様で江東区住吉でフランス料理店を営んでいたランファン(現在は、銀座に移転)では、既存顧客に自店への訪問を促すためにワイン会や店内でのライブを実施しました。店舗ビジネスを行っている方はヘビーユーザーに更に通ってもらうためのイベントが効果的です。

 

2.既存×新規
既存のお客様に新規商品を買ってもらう事です。群馬県の食肉メーカーでは精肉以外の加工品の製造・販売も行っています。しかし、既存のルートを巡回する営業マンは冷蔵車の運転、配送も兼務しているため単価が低く、サイズが小さいトルトカレーやその他の加工品の販売には目が行き届いていませんでした。そこで、営業部の中で商品別販売担当者を選定してカレーを拡販する事としました。一般的な精肉の小売店ではレジ横に空スペースがあるためレトルトカレー数個を並べる事に抵抗あるお客さんはいませんでした。3カ月の拡販プロジェクトの結果、毎月3倍以上の数量を売ることが出来るようになりました

 

3.新規×既存
新規開拓です。新規開拓はさらに詳細なステップを組み立てる事となります。
1. 最初のアクション:当社の存在を相手に知らせる。(準備を含め開始から2週間程度)
2. 相手の反応を得る(送付から2週間程度、開始から1カ月程度)
3. 反応があった相手に試してもらう(訪問、サンプルの送付)(開始から1~2か月)
4. 商談(開始から1~2か月)
5. 受注(開始から1~3カ月)となります。新規開拓である程度の目標件数を達成するのであれば3カ月程度の期間で上記のステップを行いつつ検証を繰り返すことになります。

 

4.新規事業
ユニクロの柳井氏は、「商売は元々うまくいかないものだ。一勝九敗くらいのものだ。」と仰っています。現在、たまたま「食えている」「稼いでいる」状態だとしても未来永劫続く事はありません。他の事業を成功させるとしても初めから「一勝九敗」を前提と考えていると取り組みやすい。私は次の手順を踏まえたうえで新事業を展開するように進めています。まずは、既存事業で安定的に利益を出せるようになること。そのうえで新事業を行う。この順番は何が何でも死守させています。
一方、友人の経営者の中には経営計画の中に「過去三年の新規事業の売上を全体の売上の2割程度に伸ばす」事を明記している人もいます。彼によると、「既存事業で売上を伸ばす事は簡単で安直な道だ。新規事業は大変な道だ。大変な事を敢えてやる環境に自分たちを追い込むために新規事業のシェアを掲げている。」との事でした。当社の事業再生コンサルティングでは新規事業はご法度としていますが、本来の経営のあるべき姿として常に新規事業や新商品開発を行うのは大切にしたい事です。

 

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当ブログ内容を福祉事業向けに加筆修正しました。
   当社代表内海が2015年6月~2年半関わってきた事例を盛り込んだ内容のブログです。 

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