中小企業 組織作り 組織化 方法 6 ビジョン構想

第2章1節.ビジョンを描く

「家業を脱し、企業になるにはビジョンを描き、部下に夢と希望を伝える事が大事だ」
と言われます。
しかし、そもそも日本人はビジョンを描く事が苦手です。
それは民族性に起因していると私は考えます。
狩猟型民族である欧米人は大きなビジョンや目標を掲げその実現を勝ち取る民族です。
一方農耕型民族である日本人は目の前の仕事を一つ一つコツコツとこなしていく価値観重視型民族です。
企業経営においてもビジョン=大風呂敷を広げる事よりも、安定・永続型企業が好まれます。
しかしながら、
グローバル化が進んだ現在では、
これまでの「コツコツ」重視の価値観型だけでは自社が何を目指すのかが伝わりません。
グローバルな競争環境では勝てません。

そこで、将来ビジョンを伝える必要が急務となります。

 

グループワーク

部下に対して自社の将来ビジョンを伝え、実感を持たせるためには、グループワーク実習が効果的です。
会社の5年後、10年後に
社員それぞれが自分の年齢を重ね合わせる事で会社と自分の将来像が描けるようになります。
当社が研修で実施しているビジョンワークショップを紹介します。

・手順
1.自分の10年後の年齢、家族の年齢、社員の年齢。会社の売上。社屋の年数。などを付箋に書き出させます

2.その付箋紙を模造紙やホワイトボード上に貼付けグルーピングしていきます。

3.上記の項目を実現するとしたらいくら(金額)必要なのかを算出させます。

4.10年後→5年後→3年後→1年後に必要金額を算出します。

5.1年後の目標に向けて具体的な行動計画に落とし込んでいきます。

・コツ
将来ビジョンを描くときに、「実現可能性」はいったん無視するようにします。
現状から思い描くと壮大なビジョンを描けません。
無難な出来る事の積み上げ思考になります。
「自由に描くからビジョンです」と伝えます。
当社がファシリテーターとして司会をする場合には、
「例えば~、同じような規模の会社で10年後に全社員が入れる会議室付きの自社ビル竣工ってことを言っていた社員がいましたよ。」
とか、例を掲げる事で、社員は「大き目のビジョン」を描けるようになります。
自社でやる場合には、社長は誰が何を書いたのかを覚えておくと良いでしょう。
機会を見つけて
「一緒に実現しよう。」
と声を掛ける事がしやすくなります。
これまで多くの会社で研修形式でグループワークを実施してきました。
最初は、自社ビル、工場移転、給料など社内の改善レベルの将来ビジョンが多かったです。
ビジョンというより不満の噴出の場合もありました。
20代社員は大きな仕事がしたい。
30代は給料などの待遇改善。
40代以上になると将来ビジョンより将来不安の解消が多く見受けられました。

経営理念は、「世の中を変えるような大きな事」
を掲げているのに、社員の描くビジョンの「小ささ」に歯がゆい思いをする社長が多いいようです。
そういう社長は、社員が掲げた将来ビジョンを基に、再度社長自身がビジョンを描く事をお勧めします。
なかなか言語化できなかった事がうまく表現出来るようになるでしょう。

ホンダの創業者である本田宗一郎氏や京セラの創業者の稲盛和夫氏などは、
小さい町工場時代にミカン箱にのり、「世界一」を目指していました。
何度もビジョンを描き直し目の前の改善ではなく世の中を変えるビジョンを確立してほしいものです。