中小企業 組織作り 組織化 コラム:70年企業が経営と現場の分離に取り組んだ

コラム:創業70年企業が自分事組織作りに取り組んだ

強烈なリーダーシップで業界地域最大手となったある食肉加工業。前社長と弟が50年間引っ張って来ました。社長の息子と社長の弟の専務の息子が社長、副社長と交代したのが10年前の事でした。この時期に彼らとお会いして一緒に営業部門の強化を行いました。従兄弟同志の経営コンビもなかなか強烈なリーダーシップを発揮しました。体育会営業畑出身の社長と理論系の副社長は社員数40人規模の会社を前に進める名コンビでした。しかし、彼ら従兄弟コンビも50歳を越えて今後について考えるようになりました。「工場設備の更新や人材育成などやらなくてはいけない事は山ほどある。今までのようにトップが決めるだけだと後継者が育たない。これから10年間で後継人材を育て新体制を構築しなければならない。」と言う事で一緒に組織作りに取り組みました。

一番最初に取り組んだのが「経営」と「現場」の分離でした。これまでの会議では社長と副社長が中心となり現場の半数以上を招集していました。会議に参加した社員は社長と副社長に判断を依存していました。自分事ではなく他人事でした。社長と副社長も管理職ではなく現場と直接やり取りできるのでスピードと正確性の観点からこの会議の価値を認めていました。しかし、このやり方をやっている限り管理職が育たないのです。と言う事で自社の組織を機能別に分けた組織図を作成しました。仕入、加工、販売、間接の4部門長で現場についての全てを決済できる部長会議を立ち上げました。(正式名称が部長会議となったのは会議立ち上げから1年近く経ってからでした。人事制度の整備が必要となったためでした。それまでの間はマネジメント会議と呼びました。)隔週土曜日の午前中に社長と副社長とで経営会議を実施します。その後、マネジメント会議の事務局を務める総務部長と議案整理を行います。夕方にマネジメント会議を実施する段取りとなりました。マネジメント会議後に社長、副社長が対応出来るのであれば、その日の内に総務部長と結果及び課題を共有しました。という流れを繰り返す事で部長会議で現場のPDCAサイクルと回す。経営会議では全社の方針や将来ビジョンを確立する事が出来てきました。経営と現場を分離させていく過程で副社長が言っていた事が印象的でした。「経営が正しい速さで正しく判断しないと現場が滞ってしまう。今までのスピード感は自分たちのスピード感で押し付けていた。しかし、今回は組織全体のスピードだ。今までより圧倒的に早い。私たちが無理やり引っ張るより組織のスピードが上回ったんですね。今度は私たちが置いて行かれないようにしなくてはという感じです。これが組織化なのですね。」組織に参加する全ての人が他人事ではなく自分事として目の前の問題に取り組むと今までとは異次元のスピード、精度で仕事が進みます。創業70年企業が取り組んだ組織化の一手は100年企業への着実な布石となりました。